キャブレター セッテイング/2サイクルの場合

寒い冬が終わって、だいぶ暖かくなって来ましたね。マシンの調子はいかがですか?
まさか、冬のままのセッテイングで走ってはいませんよね。空気が暖かくなると空気の密度が薄くなり、そのままで走っているとガスが濃くなりカブリ
気味になります。始動性が悪くなったり、プラグが死んでエンジンがかからなくなったりします。
百害あって一利なしです。

自動車のターボ用インタークーラーをご存知ですか?
空気を冷却して空気の密度を濃くして、酸素をエンジンの中に沢山取り入れガソリンの量を多く燃やしてパワーを稼いでいます。
つまり酸素とガソリンの量は正比例します。取り入れた酸素の量に最適量のガソリンの量を供給してやれば一番良いわけです。
理論空燃比(重量比で)14.7:1が理想です。でもモトクロスでは絶対的なパワーより、トルク感を重要視しますから若干濃い目のセッティングにし
ます。セッティングの出し方はピストンのヘッドや、シリンダーヘッドの内側で見ます。オイルによって状態は変わります。
簡単にはプラグの電極で知る事が出来ます。一般的に、いわれている事ですがいわゆるきつね色です。

つまりこの状態が一番パワーが出ています。薄すぎると焼き付きをおこします。ですから試行錯誤を繰り返しセッテイングを出します。
レーサー以外のバイクについては、どんな状態でもそれなりのパワーが出る様な万能的なセッテイングになっています。
つまり持っている性能の70%位で動いています。レーサーにしろ町乗りバイクにしろ、100%の性能を出すためにはきちんとセッテイングを
出して下さい。

よく新車の時に着いていたメインジェツト等を標準と言う人がいますが、それは何を基準とした物か解り難く、あまりそう言う風に考えない方が
失敗が少ないと思います。
テストしたコースに合わせてある(ファイナルレシオ)、安全マージンを最大限取った物を付けている(MJ、プラグの熱価)等の事ではないかと
考えます。

メーカーの工場を出荷する時には、便宜的にパーツを付けなければならないのでプラグにしろ、ファイナルレシオにしろ、レースでは天候や
気温、コース状況等に合わせて改めてセッテイングし直す事が必要でしょう。
今まで培ったノウハウで最適な状態のマシンをセットアップし、誰よりも早く走れるように常に考え行動しましょう。

つまりレースでは、耐久性や、経済性を無視して性能を追求することが必要と思います。
それでは、楽しいモーターサイクルライフを楽しんで下さい。

※新車時に装着された番手やグレードプラグやMJを使い続け、常にプラグかぶりに悩まされているライダーの皆さんを良く見かけます。
例えばタイヤをコースコンデションで使い別けていない人は殆どいない筈です。他のセッテイングパーツも同じ事と理解して下さい。



あるお客様からご相談がありました。

質問:NGKプラグについてお聞きしたいのですが、現在'03YZ125に乗っていて、標準装備のNGKのBR9EGを使っています。
今の気温に合わせてキャブを濃いめにセッティングしているのですが、この場合プラグも変更しないといけませんよね?
プラグについての知識が全くなく、どういったときにどのプラグを使用すればいいのかわかりません・・・
それと、BR9EGでもBR8EGでもかぶり気味なのですが、プラグの選び方とか教えていただけませんか?
ちなみにキャブはメインジェット#410番(標準400)、ジェットニードル標準の真ん中から1段下げたセッティングをしています。

Beetleの考え:まずプラグにもグレードが有り、失礼ですがB○EGやBR○EGはグレードとしては一番下に属します。
価格が高くなると電極の材質を最適化して、火花が強く飛ぶ物を使用しています。例えば最近は高性能なイリジウム合金が
有名ですが、一度使ってみる事をお勧めします。又ミスファイアーも少なくなり安定した性能を発揮します。

アクセル開度三分の一以上になると殆どメインジェットが受け持っています。ジェットニードルは主に低速ですから、気温が下がるにしたがって
クリップを下げるのは正解です。

お話を伺った限りではまだ濃いような気がします。例えばロードレース等ではセッテイングを決めて、本番さながらの走りをしストレート全開で
エンジンを止め、惰性でピットインしエンジンを開けてシリンダーヘッド、ピストンヘッド、プラグ等で焼けを確認します。
その作業を何回か続け最高のセッテイングを探るわけです。そして良い結果をデータとして残し、同じような条件の時に参考にします。
いかに多くのデータを持っているかでレースが決まるようなものです。

只それはその条件下での最高のセッテイングであり、他の条件では必ずしも当てはまりません。
なぜそんな事をするかと言うとタコメーターがあるからです。体感ではなく事実としてそのセッテイングでの最高回転が表示されます。
つまりセッテイング次第でライバルの前に出られレースに勝つ事が出来るわけです。MXよりむしろマシンの性能に依存しているRRでは、
その傾向がより顕著になります。

しかし薄すぎると回転の上昇は良いのですが、反面焼きつきやトルク感がなくなりますのでMXのセッテイングではベストセッテイングより
少し濃くして、アクセルレスポンスを少し落とし、トルク感を高め、コーナーの途中でも早めにアクセルを開けられるようにします。
その方がより乗りやすくなります。
空冷エンジンに比べプラグ座温が一定している水冷では、地域にも寄りますが例えば夏はNGKで9番、冬は8番と決めて後はキャブレターの
セッテイングで変えてゆくほうが良いかもしれません。
参考までにあるスーパークロスでのJ・マクグラスは7番のプラグでした。(コーナーの連続するSXのコースではそんなもんでしょう、既成概念
で考える事はやめてもう一度基本的な考えが必要です。)

一部に熱価が高いほど高性能とか、新車に装着されていたプラグを標準と呼ぶ場合がありますが、私はその考えは棄てた方が良いと思い
ます。たまたま付いていたと思って下さい。
ラーダーの技量やコース、天候等により常に変化する状況に対応したセッテイングが大事であり、誤解の為に性能をスポイルする事がない
ようにしたいものです。

タイヤを例に取ると、新車時に装着されていた物を標準として使い続ける人はいないと 思います。コースコンディションにより最適なタイヤ
選択が必要なように、プラグやキャブセッテイングが必要になります。

結論です。
【基本は酸素の量に対し燃え切るだけの適当な量のガソリンをキャブレターから送る事】ガソリンが多いと燃え残り(カブル)ます。少ないと
抱き付きや焼き付きを起こします。(混合の場合のみ)

プラグの熱価が高いとエンジンが冷えすぎます。熱価が低いと焼けすぎます。標高が高いと酸素は薄くなります。

良く耳にするのがキャブレターセッテイングを薄くすると、焼き付くのが心配と言う声がありますが、それでしたらガソリンとオイルの混合比を
低くして下さい。

又長い下り坂で常にエンジンブレーキでは、オイルの供給が無い為に焼き付を起こす事がありますので、冷却と潤滑をかねてアクセルを
時々開けてやる事(空ぶかし)も大事です。

ガスが濃いと【プラグを沢山使う】【燃費が悪い(常に燃え残る)】【パワーが無いから乗っていて楽しくない】そんな感じです。

持っている性能の70%位をどんな条件下でも発揮している街乗りのバイクと違い、レーサーは常にその条件下で100%の性能を発揮させる事が
大事です。その為のエンジンセッテイングのお話です。

今回のお話は、2サイクル混合エンジンに対する場合のお話です。

ちなみにキャブはメインジェット#410番(標準400)、ジェットニードル標準の真ん中から1段下げたセッティングをしています。
***********************************************************************************************************************
Beetleの考え:標準とはどんな条件下での、どんな技量のライダーに対する標準なのか考えてみて下さい。工場を出荷するのにどうせユーザー
が自分のセッテイングに変えるので、ある意味適当? な物を装着したと言う風に考えた方が正解かもしれません。